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【阿含宗】 〝たまたま手に入った〟「真正仏舎利」で詐欺宗教   


【1.無節操な本尊の変遷と経典】
 靖雄は「観音慈恵会」以来、たびたび本尊を変更している。現在は「真正仏舎利」が総本尊ということになっていが、過去の経緯を見てみると、

 (1)観音慈恵会時代……「大白身如来最勝金剛仏母準胝観世音」
 (2)昭和53年当時……「大白身如来最勝金剛仏母準胝観世音大菩薩」
 (3)昭和54年の星祭り時……「大日如来・釈迦如来・準胝如来の三身即一の如来」
 (4)昭和61年……スリランカから贈られた「真正仏舎利」

 ということにな。ただし現在でも、(3)も一応は本尊ということにはなって
 また信者の各家庭には、「御宝塔(ごほうとう)」と呼ばれる金属製の仏舎利塔を祀(まつ)ります。これは「靖雄の修法によって、真正仏舎利と同じ功徳力の備わったもの」だという
 教典は、立宗以前は『準胝観音経』や『般若心経』だったが、立宗後は『阿含経』に変更されてい

 「教団を立てるとしたら、本尊の仏を決めなければならないが、それは、生身の釈迦とされる仏舎利以外あり得ない」
 桐山靖雄はこう言いながら、準胝観音を本尊にした。また教義・修行についても、「立宗時に、ある程度の教義が樹立されていたが、それが完成し、修行法までできあがるのには『熟成』の期間が必要である」とも言ってい。実際、昭和53年の立宗以後、8年もたってから本尊を「真正仏舎利」に突如として変更、それと同時に修行を「準胝尊・因縁解脱千座行」から「仏舎利宝珠尊・解脱宝生行」に変更してい

 この通り、阿含宗の本尊は「大白身如来最勝金剛仏母準胝観世音大菩薩」→「三身即一の如来」→「真正仏舎利」等と移り変わってきた。しかし教団の依経である『阿含経』には、これらを本尊にしろなどとは書かれておらず、これらの本尊には法義上の一貫性がまるでない。ある記者から「やたらに本尊や教義を変えるものではないのでは?」という質問に対して靖雄は、「彼らは『なぜそうしたか』という理由など全然知ろうとせず、ただ〝本尊や教義は変えるものではない〟などと、一方的に攻撃するのである」と答えておきながら、その後、その「理由」なるものについて一切説明していない。実際に単なる思いつきで変更してきたのから理由などあるはずもなく、開き直るしかないというのが正直なところであろう

 ●たまたま手に入った「真正仏舎利」
 靖雄は「真正仏舎利」について、「これこそが真実の仏であり、仏教徒の総本尊である」などと言い放っている
 しかしこの真正仏舎利、実はたまたま入手できたに過ぎない。その経緯については靖雄自身が、「日本の某教団が舎利を受けることになり、その分骨式をスリランカの国家的行事として行ったが、相手の不都合により贈与が中止となった。しかし国家的に分骨式を行った手前、これまで仏舎利を持っていた寺院に戻すことはできず、急きょ、阿含宗に贈与されることになった」
と言ってい。その「たまたま手に入った仏舎利」を、即座に教団の本尊にしてしまうデタラメさには驚ろかされ


【2.霊障を中心とした低い教義と修行】
 阿含宗では、「人間が不幸になる悪因縁は、執着や執念のために成仏できない(不成仏霊)、そのなかでも特に怨念の強い<霊障のホトケ>によって引き起こされる」などと主張してい
 教団では、これらの霊障を取り除き、さまざまな悪因縁から解放され(因縁解脱)、自由自在の境地になるためとして、
(1)「成仏法」…生者、死者の業(ごう)を断ち、因縁解脱して仏になる
(2)「如意宝珠法」…「真正仏舎利」の力によって因縁解脱成就へと導く
(3)「求聞持聡明法」…記憶力を数倍に高め超能力を与え、凡人を天才にすると同時に、仏の悟りを得る
 という、3つの実践法を教えてい。これらは阿含経の教えに基づくと言っていが、実際には密教様式を採用しているものである。また信者には、
1)「冥徳供養法」…不成仏霊を供養するもので、靖雄が供養した塔婆を自宅の仏舎利塔に置き、真言を称える。そしてその塔婆を教団に返納して毎月、管長の靖雄が供養を続けることによって「守護霊」を持つことができる
(2)「解脱供養法」…霊障のホトケを供養するもので、靖雄が霊障のホトケを探り出し、戒名等を付け、そのホトケを完全解脱する
 という2つをさせてい。またこれ以外に、教団運営のための奉仕活動や布教を行う「梵行」「自身の欠点・短所を消滅させる戒行」などの実践修行があ


【3.どこまでも詐欺師】
 桐山靖雄は、そもそもが〝実際の詐欺師〟出身者です。その罪状は以下の通り。

  1.詐欺、契約違反容疑(昭和20年)
  2.手形詐欺容疑(同上)
  3.酒税法違反(にせビール製造販売)
  4.私文書偽造容疑(昭和28年)


 これらの犯罪を、本当に心の底から反省したのなら大変結構なことが、桐山はそうではない。教祖となってからも、手品のトリックで世間と信者を欺き、いかにも自分は修行を積んだ超能力者であるかのごとく偽っている。その一例は、

 ●トリック1
 
しっかり封をした、信者からの「御伺い書(質問書)」を、開封せずに超能力で透視して「御霊諭(返答)」を下す
 これは、御伺い書の袋をアルコールにひたして中の文字を読み、アルコールはすぐに乾くのでもと通りになり、開封しなくても読むことができる、というだけのトリックであった。塚田康人という人が、この手品を桐山に教えたのである

 ●トリック2
 
護摩壇(ごまだん)に点火する際、火を使わず、桐山の念力で発火・点火させる「念力護摩」

 これは、「無水クロム酸」という発火剤を使ったトリックです。奉書紙に道教の呪符(じゅふ)と梵字を書いたものを護摩壇の中央の炉の上に置、この梵字を発火剤で書いておく。ここに、散杖(さんじょう・護摩で使う道具)で水をかけると発火する、という仕組みである。つまり、いかにも桐山の念力 で点火したように見える奇跡は、無水クロム酸と水による化学反応であった
 このように、桐山はどこまでも不純な「宗教詐欺師」と呼ぶべきである。過去の犯罪に対する真摯(しんし)な反省など、この教祖には微塵もない


【4.『阿含経』に即身成仏なし】
 靖雄は「自分の持つすべての悪い因縁(条件)をすべて無くしてしまった人を『仏』という」などと好き勝手な成仏論を主張してい
 しかし教団が依経としている小乗教の『阿含経』には、靖雄が言うような現世の成仏(即身成仏)などはまったく説かれていない。靖雄が勝手に言っているだけのことで、何の根拠もない、根無し草の妄言である

 




【創 立】
 1978(昭和53)年4月
【創始者】桐山靖雄
【代表者】 
【信仰の対象】
 
『真正仏舎利』
【教 典】
 『阿含経』
【本 部】
 
京都市東山区三条通り神宮道上ル ---------------------------
 桐山靖雄(きりやま・せいゆう)が「阿含経の教説を密教の方式で実践することにより、誰でも超能力を備え、仏陀になれる」と主張し、設立した教団。
 桐山靖雄は、本名を堤真寿雄(つつみ・ますお)という。
 昭和14年、結核性の痔瘻とカリエスにかかり病院に入院した真寿雄は、精神的安定を求めて宗教書を読みあさり、自ら考案した瞑想法やら数々の養生療法を試した。そして終戦後に退院した真寿雄は、弟たちと始めた製粉機・精米機のヤミ販売で利益を上げ、さらに水産加工物販売にも手を広げたが、その後まもなく、水産加工物の事業に失敗して多大な負債を抱えた真寿雄は、首吊り自殺をしようとし、そこでたまたま目にした『般若心経』『準胝(じゅんてい)観音経』などの経典を読み、死ぬことを思いとどまり、これがきっかけで真寿雄は観音信仰に励む一方、運命学や因縁解脱などを学んだ。
 昭和28年、合成ビールを密造販売した真寿雄は、酒税法違反と私文書偽造の容疑で逮捕され、一審で懲役1年6ヶ月・罰金5万円の実刑判決を受けた。控訴したものの7年後に有罪が確定、真寿雄は刑務所に約1年間服役した。
 この逮捕をきっかけに、真寿雄は「観音慈恵会」を設立。母方の姓を取って「桐山靖雄」と名を改めた。
 借家で始めた「観音慈恵会」は、収入が少なく家賃の滞納で追い出された靖雄は、東京の会員を頼って転々としながら全国各地を往復して会員を増やし、東京・大阪・愛知、石川等に支部や道場するまでになった。昭和30年に真言宗の寺院で得度し僧籍を得たという靖雄は、昭和42年、「観音慈恵会」を「大日山金剛華寺観音慈恵会」と改称し、昭和44年には石川県で宗教法人を取得した。
 昭和45年、静岡県富士宮において、第1回「大柴燈護摩供(だいさいとうごまく)」と称する世界平和祈願祭を行い、それ以降、教団の最大行事となる「炎の祭典 阿含の星祭り」となった。
 昭和46年、靖雄の著書『変身の原理』が、当時のオカルトブームに乗って世間の注目を集めると、さっそく靖雄は妻に(株)平河出版社を設立させて自著の密教解説書を次々と出版、また昭和48年には(株)光和食品を設立して密教食を売り出すなど、教団関連会社を拡大した。
 昭和50年代に入ると、「密教には成仏の修行法が観念化されているが、『阿含経』には真実の成仏法が説かれている」と思い立ち、昭和53年4月に、『阿含経』を根本経典とする「阿含宗」を立宗。昭和56年には教団名を「阿含宗」と改称。
 昭和61年、スリランカから予定外に「真正仏舎利=釈尊の遺骨)」が贈与されたことにより、本尊を従来の「準胝観世音」から「真正仏舎利」変更。昭和62年、(株)光和食品が無許可の漢方薬を原料とした密教食を販売したことによって摘発され、元会長の靖雄以下7名が、薬事法違反の罪でそれぞれ罰金20万円の略式命令を受けた。
 

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